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File No.01 クリッペン事件
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1910年:イギリス
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クリッペン博士
(イメージ・イラスト)
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加害者
名前
ホーレイ・ハーヴェイ・クリッペン
特徴・略歴
1862年アメリカのミシガン州に雑貨店主の息子として生れる。ロンドンに留学。
医学博士。専門は歯科学。
1889年、二度目の結婚を機にアメリカのセントルイスで開業し、繁盛していたが、1900年、薬の通販会社の支配人になってロンドンに赴任する。その後も度々勤め先を替えているのは、察するに妻の浪費に見合う収入を求めてのことだったのだろう。
非常に小柄。近眼。風采は上がらず、犯罪を行う度胸があったとは思えないほど小心だった。物静かで内気だが、人当たりがよく、紳士的な態度で交友関係には恵まれていた。
やや、ロリコン気味? 少女のような女性を好んだようだ。
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被害者
コーラ・クリッペン (旧名 クニグンデ・マッカモッツィ) 芸名 ベル・エルモア
ポーランド人とドイツ人の混血。移民系アメリカ人。
17歳でクリッペン博士の後妻になるが、声楽家の夢をあきらめきれず、ベル・エルモアの芸名でミュージックホールに出ていた。肉感的でエキゾチックな美女。万事に派手好き。虚栄心のかたまりで、金遣いが荒く、宝石とパーティが大好き。ヒステリー。
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少年に変装したエセル・ル・ニーヴ
(イメージ・イラスト)
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事件の概要
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クリッペン博士の妻の姿が見られなくなった。
その理由についてクリッペン本人は、妻は急用で渡米中だと言っていたが、程なくして今度は、アメリカで妻が病を得て急死し、遺骨だけが返ってきたと言いだした。
クリッペンの妻ベル・エルモアと親しい商人がこの話に不審を抱き、スコットランド・ヤードに通報した。警察は真面目に取り合わなかったが、一応は義務としてクリッペン博士を訪問することにした。だが、このときの博士の異様な狼狽ぶりが、俄然、警察の疑惑をかきたてた。
再度、警察がクリッペン博士を訪ねたとき、博士は愛人のタイピストとともに出奔した後だった。そして、自宅の地下室から、バラバラにされて塗りこめられたクリッペン夫人――別名ベル・エルモアの遺体が発見されたのだ。
クリッペンと愛人エセルはカナダ行きの汽船で逃避行を試みていた。エセルは少年に変装し、二人はロビンソン父子と名乗っていたが、船には既に人相書きが打電されていて二人の身元はすぐに見破られ、船長は折り返し警察に無電で報告した。
航海の間、二人には悟られずに船長は厳重に監視を続け、クリッペンとエセル・ル・ニーヴは一般乗客として船を下りた・・・待ち構える警察官の群れの中へと。
クリッペン博士は妻を毒殺後、遺体を細切れにして地下室に埋めた罪で死刑に処せられ、その遺言により、愛人エセルの手紙と写真と共に埋葬された。
エセルは事件とは無関係であると認められて釈放された。
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事件の特質
■ 知識階級の起した殺人事件として一大センセーションを巻き起こした、犯罪史上あまりにも有名な事件。
■ 被害者が医学博士の妻にして歌手という異色な存在で、芸能人気質丸出しのグラマー美女であることや、可憐で清楚、男好きする愛人とのスリリングでロマンチックな逃避行など、スキャンダラスな彩りがふんだんに盛り込まれたネタにことかかなかったため、非常に世間受けした。
■ 当時、導入されたばかりだった無線によって犯人逮捕が行われたのは、この事件が世界初。
■ 殺人にヒオスチン(スコポラミンに類似)という毒物が使われたのは、このクリッペン事件が世界初。
■ エセル・ル・ニーヴは本当に無邪気すぎただけの罪のない女だったのか? 気が小さくて忍耐力も備えていた中年男が、ここまで無計画で行き当たりばったりな犯行を犯すだろうかという疑問は残る。クリッペンという男は英国的な騎士道精神を尊重する美意識の持ち主だったように思われてならない。仮に毒殺の実行犯がエセルだったとしたら? クリッペンが自分への愛のために殺人を犯したエセルを守り通し、かばい通して絞首台に上ろうと決意したとしても不思議ではない。
エセルが手を汚していなかったとしても、クリッペンの犯行を全く知らなかったというのはあり得ないだろうという気がする。
■ クリッペン博士は、かのコナン・ドイルと親交があった! ↓の著書、血の三角形に詳細な記述あり。
関連するミステリ・ファイル
File No.047 偽のデュー警部 (ピーター・ラヴゼィ著)
クリッペン事件の詳細を扱った書籍
血の三角形 (世界怪奇実話) 牧 逸馬著
世界の事件、事故などを短編実話形式で著したユニークな一冊。 クリッペン事件の他に、タイタニック号の悲劇を臨場感溢れる描写で綴った「運命のSOS」などが収録されている。
殺人百科 コリン・ウィルソン編
犯罪史を飾る殺人事件が全て網羅されている。
手口や凶器から殺人事件を分類、研究した一冊。
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クリッペン博士は無罪だった !!
このページをご覧いただいた方から、↓の情報をお寄せいただきました。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200710172213&page=2
記事によると、地下室の死体はクリッペン夫人――ベル・エルモアのものではなかったことがDNA鑑定の結果、判明したようです。
「事実は小説より奇なり」…って陳腐で使い古された言い回しだと思うけど、他に適切な言葉が浮かんできませんね、この展開は!
クリッペン博士に殺人を犯す度胸が無さそうなのは何となく感じてましたが、死体がベル・エルモアじゃなかったなんて想像すらしませんでした。
それにしても、死体はいったい誰だったのか、そもそもベル・エルモアはどこへ消えちゃったのか、生きてたなら何故名乗って出なかったのかなどなど、謎は深まりまくり。
殺人好きのイギリス国民にはこたえられない展開じゃないでしょうか?
クリスティ女史が存命だったら、早速ミステリのネタにしたでしょうね。
…実は、ベル・エルモアとデュー警部が共謀した完全犯罪だった!…みたいな。
エセル・ル・ニーヴはほんとうに潔白だったのか…(真犯人だと疑ったりしてゴメンよ、エセル)
情報をお寄せ下さった「通りすがり」様には、この場を借りて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
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