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File No.01 切り裂きジャック事件 
1888年:イギリス


ジャック・ザ・リッパー
(イメージ・イラスト)

加害者

名前(通名)
 ジャック・ザ・リッパー

特徴
律儀・・が言いすぎなら、こだわり屋さん。 同じ街、同じ週末、同じ職種の女性、同じ殺害方法。

器用・・名外科医並みのメスさばきを見せる。犠牲者を丁寧に解剖。必ず子宮を持ち帰る。

怪力・・一気に喉元を切り裂く手口で殺害しているが、首と胴が離れるくらいの一撃を与えている。

知力・・相当の医学的知識を有すると思われる。医者だろうという説は根強い。

敏捷・・神出鬼没。大胆に犯行を行っているが、逃げ足が速く、尻尾をつかませない。


自己顕示・・この手の犯罪者の常道で、自分の犯罪を世に宣伝したいという強烈な願望を抑えられない。ジャック・ザ・リッパーなる署名は本人が警察や新聞社に送った挑戦的なメッセージに必ず記されていたものだ。これらの文章は全てスラングてんこ盛りのヤクザっぽい代物で、医者や名士説を疑わせる根拠になっている。

その他・・・・・左利き。年齢は30前後で、若い印象。中背。浅黒い肌。肩幅が広く、筋肉質。特徴の少ない顔立ち。髭は無い。きびきびとした動作。すばしっこそうな目をしている。早口。横柄な命令口調。アメリカ訛りがある。違和感を感じるほど丈の長い黒いコートを常用。

被害者

犠牲者は全て、最下層の娼婦。最後の犯行以外は皆40過ぎの女性。
犠牲者の数も4人〜14人と幅があり、確定されていない。

 アニー・チャップマン
 
1888年9月8日、連続殺人として騒がれ始めた頃、3〜5人目の犠牲者と思われる。石炭置き場で惨殺される。近所の主婦がアニーに言い寄る男の声を聞いている。

 エリザベス・ストライド
 
1888年9月30日、発見者が近づいた時、死体からはまだ鮮血が流れ出していた。

 キャサリン・エドウィズ
 
エリザベス・ストライドと同日。エリザベス殺害から45分後の犯行。遺体の近くの壁に 「ユダヤ人は何もせずに故無き弾劾を受ける者ではない」 (おとなしく迫害されたままじゃいないぜ) という落書きがあったが、社会的反響を慮った警察が独断で消してしまった。

 メリー・ジャネット・ケリー
 
最後の殺人。この被害者だけが24歳と若く、犯行現場も戸外だった他の犯行と異なり、被害者本人の自宅だった。時間の余裕があっただけに現場は惨状を極めた。


事件の概要

 1888年の夏から秋にかけて、ロンドンのイースト・エンド――最下層のスラム街ホワイトチャペルで娼婦が惨殺される事件が相次いでいた。遺体はことごとく切り裂かれ、内臓を摘出され、不気味なフリーマーケットのように路上に陳列されてあった。これがロンドン市民を戦慄させ、ヤードを嘲弄し、ついには犯罪史上の伝説となった 「切り裂きジャック」 事件である。

 周知のように、この事件は迷宮入りしている。社会問題にまで発展し、警視総監の首が飛んだが、決め手になるような手がかりは結局得られず、切り裂きジャックはメリー・ジャネット・ケリーの殺害を最後に闇の中に永遠に姿を消し去った。

 このため、切り裂きジャックの正体を巡って様々な憶測、推理、噂が現在に至るまで世間の関心を引き、映画や小説の題材として魅力を維持し続けているのである。


 事件の特質

■ 王族、貴族への容疑

 スコットランド・ヤードがその面目を丸つぶれにされながら犯人を挙げられなかったことで、政治的圧力を疑う憶測が生じ、玉座に近い人物が犯人だとする説は多い。その第一がクラレンス公。ヴィクトリア女王の孫で素行の悪さにかけては札付きだった王位継承者である。その他、名門貴族ラッセル家のひとりも疑惑をかけられた。
 最も有力な容疑者とされたのは、やはり名門のドーセット家につながるモンタギュー・ジョン・ドルーイットという司法修習生。代々医師を生業とする一族の出で、本人も当初は医学を志していたが、神経が繊細すぎて諦めた。学業優秀でスポーツマン、申し分の無い若者だったが、切り裂きジャックの最後の殺人直後に入水自殺している。



 「実は、俺こそが切り裂きジャックだ!」

 犯罪者には実際よりも自分を凶悪に宣伝したいという強烈な欲望を持つタイプが少なくない。稀代の毒殺魔で絞首刑に処せられたドクター・クリームは処刑台の上でこの言葉を叫んだと言われる。実際には言い切る前に台が落ちたらしい。彼には犯行当時服役中だったという致命的なアリバイがあったため、ヒーローにはなり損ねた

 
フレデリク・ディーミングという先天的犯罪者も死刑直前に自分が切り裂きジャックだと告白した。その他にも切り裂きジャックの署名入り日記が世に出回るなど、この種の話には事欠かない。


■ ビジネス説: 臓器売買?

 練達した職人技できれいに子宮が切り取られて持ち去られていることから、この説は有力。当時、子宮標本はかなりの需要があったらしい。


■ 外国やアナーキストの陰謀説

 ロシア政府が世情撹乱を狙って、凶悪な殺人鬼の医師を送り込んだという説がある。モスクワの精神病院に厳重に監禁されていた者が事件の前に脱走して行方をくらましている。売春婦の魂を救うためには惨殺するしかないと信じる狂信者だった。


■ 切り裂きジャックは女?!

 この説にも熱心な支持者がいる。例えば産婆なら堕胎を口実に容易に犠牲者に接触できる。事実、最後の犠牲者のメリーは妊娠中だった。しかし、一撃で首を落すほどの怪力を揮う女がいるとは考えにくい。
 では、女装説はどうか? 長過ぎるコートの下にはスカート? たぶん老齢の売春婦も数多かったはずの地域だけに、少しくらいごっつい女が歩いてても目立たなかったかも。 犯行は夜中だし。


切り裂きジャック事件の詳細を扱った書籍

    妖人奇人館  澁澤龍彦著
    澁澤龍彦全集〈10〉 澁澤龍彦集成 7,妖人奇人館,暗黒のメルヘン,黄金時代,補遺  澁澤龍彦著

    知る人ぞ知る、澁澤龍彦東大名誉教授が織りなす怪奇ワールド。
    シリーズ化された中の一冊。はまりだすと止まらない。

    浴槽の花嫁 (世界怪奇実話) 牧 逸馬著
    浴槽の花嫁  文庫版

    切り裂きジャック事件について、「女肉を料理する男」 という題名で収録されている。
    臨場感のある筆致で、かなり詳細に事件を描いてある。
    この他にも、表題になっている 「浴槽の花嫁」、食糧難の戦時に、浮浪少年を漁っては陵辱して殺害、
    店頭でその肉を売って繁盛していたホモの肉屋の実話 「肉屋に化けた人鬼」 などが収録。

    真相 (上)―“切り裂きジャック”は誰なのか?真相 (下)―“切り裂きジャック”は誰なのか? 
                                             パトリシア・コーンウェル著

    切り裂きジャック最終結論  スティーブン ナイト著


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