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File No.01 ブランヴィリエ侯爵夫人
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(1630〜1676)
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ブランヴィリエ侯爵夫人
(イメージ・イラスト)
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人物像
■ マリー・マドレーヌ・ド・ブランヴィリエ(旧姓ドーブレ)。
■ 1630年7月フランス、パリ生まれ。父親は司法官。6人弟妹の長女。
■ 澄んだ青い目と豊かな栗色の髪を持つ美貌の女性。
■ 目から鼻に抜けるような利発さがあり、熱狂しやすい性格ながら浮気性。
■ 信仰心も道徳心も完璧なまでに欠如。
■ 少女のころから淫蕩な資質があり、成人した時にはほとんど見さかいのない色情狂だった。
■ ヒステリー気質で、露悪趣味が見られる。
■ 毒殺という行為そのものでエクスタシーを得るタイプの、嗜好性の高い、天性の毒殺魔。
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ゴーダン・ド・サント・クロワ
(イメージ・イラスト)
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事件の概要
1651年、マリーは侯爵家の跡取りアントワーヌ・ゴブラン・ド・ブランヴィリエに嫁ぐ。
この男は若旦那気質丸出しの気のいい放蕩者で、妻を放任した。それをいいことにマリーは当時の退廃した貴族社会に秒速でならい、男漁りに精を出した。
幾多の情夫のうち、彼女が最ものめりこんだ相手が騎兵将校ゴーダン・ド・サント・クロワであり、この結びつきこそ、彼女にとってもサント・クロワにとっても二人の周囲の人間にとっても、まさに「運命の縁」になった。
道徳堅固で厳格なマリーの父は娘の不行跡を黙視できず、公権力を使って娘の情夫サント・クロワを投獄させたが、これがとんだ裏目に出てしまった。元々化学や薬学に興味のあったサント・クロワは、獄中で有名な毒殺魔と仲良くなって「毒薬の調合法」なる知識を仕入れて戻ってきたのだ。
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ほどなくしてブランヴィリエ侯爵夫人が慈善病院に熱心に通いつめる姿が見られるようになった。恵まれない病人たちに手ずからビスケットや葡萄酒を施す美しい貴婦人は聖女のように慈愛に充ち、神々しくさえ見えた。もちろん、これらの食べ物には全てサント・クロワが調合した毒が混ぜてあった。
この悪魔的な行為は父親殺害のための人体実験を兼ねてはいたが、彼女の嗜好に適った趣味であり、快楽でもあった。
父親が病を得ると、チャンス到来!とばかりにいそいそと駆けつけたマリーは、献身的に看病し、せっせと毒を盛った。煙たい父が死んだ上に、まとまった遺産も手に入ったことで、彼女は歯止めがきかなくなっていた。次のターゲットを実の弟たちに定め、遺産の独り占めを図って次々と毒殺していったのである。さらには実の娘や夫までも狙ったが、夫の侯爵とは男色関係にあったサント・クロワに企みを阻止された。妻に毒を盛られると、すぐさま情人に解毒剤を与えられることを繰返された夫は、半病人で生き永らえることになった。
マリーの命運が尽きる時がやってきた・・・・・サント・クロワが自宅の実験室で変死したのだ。誤って毒を吸入したためとも言われる。
警察はサント・クロワの居室から、厳重に封印された真紅の小箱を押収したが、そこには 「自分が死亡した後は、箱の中身は全てブランヴィリエ侯爵夫人の所有に帰すため、開封することなく夫人に渡してほしい」 旨の書付が貼られていた。しかし、結局、封印は解かれ、箱は開けられた。中には夫人の借用証書、毒薬の小瓶、マリーがサント・クロワに宛てて書いた恋文36通が入っていた。危険な女の殺意がいつ自分に向くかという不安から証拠品を温存していたものらしい。
警察の手を逃れて修道院に身を潜めたマリーを、神父に化けた好男子の密偵デグレが色仕掛けで連れ出し、ついに捕縛に至る。彼女の携帯品の中には、それまで犯したあらゆる犯罪の詳細が赤裸々に綴られた「告白録」があったが、こうした露悪趣味は不思議と毒殺魔に共通する性癖であるらしい。
火刑法廷という特殊な審問ののち、1676年7月16日、マリーは死刑を宣告され、即刻斬首された。
彼女の遺体は焼かれて灰になり、パリの早朝の風に散った。
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関連するミステリ・ファイル
File No.019 火刑法廷 (ジョン・ディクスン・カー著)
このミステリでは、17世紀の毒殺魔ブランヴィリエ夫人と、彼女に深い因縁を持つ人物たちに、20世紀の田舎町に集う人物たちがそれぞれ対応して登場してくる。
ブランヴィリエ侯爵夫人・・・・・・→ 主婦マリー・スティーブンス(旧姓ドーブレ)
ゴーダン・サント・クロワ・・・・・・・→ ノンフィクション作家ゴーダン・クロス
密偵デグレ・・・・・・・・・・・・・・・→ 地主マイルズ・デスパード
作品の中で主婦マリーは、火と、なぜか漏斗(じょうご)を異様に恐れる設定になっている。
実はブランヴィリエ夫人は火刑法廷という特殊な異端審問の場で漏斗を使う拷問を受けた事実があり、小説では、マリーが夫人の生れ変わりであることを疑わせる根拠の一つになっている。
関連する小道具ファイル
File No.01 砒素(ひそ)
サント・クロワが調合した毒薬は砒素を主原料にしたもので、その名も 「遺産相続の粉」。ブランヴィリエ侯爵夫人は用心深く、砒素を微量に加減して時間をかけて対象に与えたため、長い間、発覚を免れていたようだ。
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ブランヴィリエ侯爵夫人の詳細を扱った書籍
世界悪女物語 文春文庫 澁澤龍彦著
いずれもスケールのでっかい稀代の悪女たちを華麗に料理。
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