Handmade 和太鼓

present by suiko


 

 太鼓と言えば長胴太鼓、うちにはワイン樽を使った自作太鼓が3台ありますが、やっぱり刳り貫きの胴がいいですね。

 太鼓を自作するのは、とにかく太鼓が足りないからです。刳り貫き胴の自作太鼓は大変なので、最近は古い太鼓をリメイクしています。前回は会にあった古い太鼓を修復しましたが、最近はネットオークションで手に入れて古い太鼓に挑戦しています。

 今回は1.2尺と1.3尺、1.6尺の3台をいっぺんにリメイクしました。(と言っても何だかんだ1年以上掛かりましたが・・)

 

【古太鼓の状態】

 上から1尺2寸(上段)、1尺3寸(中段)、1尺6寸(下段)の古太鼓の最初の状態です。1尺2寸は「文久」、1尺6寸は「大正」時代のもののようです。もったいないですね。何とかなるでしょうか?

 

【胴のリメイク】

 どれも革は全く使えませんので全てはがし、胴を削り一皮剥きます。1.2尺の胴はかなり劣化している(上段左画像)ので、幾ら削ってもきりがありません。また、唄口はすでに補修されていました(上段中画像)。1.3尺はやけに金具が大きいと思ったら”節”を隠すためだったのですね(上段右画像)。

 胴の磨きには紙やすりを取り付ける往復式サンダーが手軽ですが、欅の胴は硬くて埒があきません(上段右画像)。回転式のサンダーでは当たる面が小さく効率が悪いのと綺麗に仕上がりません。結局、新たにベルトサンダーを購入しましたが、これがこれがなかなか良かったです。しかし、音と木屑がすごいので、マンションのべランダでの作業はかなり迷惑で、作業場所の確保が大変です。

 どんどん磨いていくとさすがに欅は目が詰まったいい肌が出てきます(下段中画像)。鋲の跡はボンドをつけた爪楊枝で埋めておきます(下段右画像)

 

【下地処理と塗装】

 磨きが完了したら、ひび割れ箇所にボンドを注入して大きいものはエポキシパテで埋めます(胴の修理はここにも)。再度磨きをかけたらとの粉で目止めをします。との粉は水で溶いて刷毛塗りし(左画像)、余分をボロ布で拭いとります。乾燥したら180番程度のペーパーで表面を磨いて下地処理完了です(中央画像)。

 これまでの塗装は、油性ウレタンニスか水性ニス(油性と水性の塗装の様子はここ)でしたが、今回はオイルステン+サンディング+クリアーラッカーを試してみました。

 材質とコンディションがよければ、これが一番薄く堅牢になるみたいですが、塗装面に厚い層が欲しいときは油性ウレタンニスが良いようです(個人的にはこちらがオススメ)。画像右はオイルステンでの着色の様子です。木目が綺麗に浮いてくるのが良く分かります。

 

【塗装の仕上がりと金具】

 上段の画像はそれぞれ1.2尺(左)、1.3尺(中央)、1.6尺(右)の塗装仕上がり状況です。

 1.3尺と1.6尺は既存の金具を研磨(下段左画像)し再塗装しました(下段中央画像:1.3尺)。1.2尺の金具はボロボロだったので新しく自作しました(金具自作の様子はここ)。下段右の画像は金具を取り付け終わった1.2尺です。

 

【革取り】

 今回も糠なめしの国産ホルスタイン1頭のやや厚めの1枚革(乾革)を仕入れました(6万円)。腹の一番良いあたりを1.6尺に取り、残りで1.2尺と1.3尺の計3台分が取れました。乾革の状態で革取りしてから、水につけて戻しタグ穴を空けます。安いフロアーシートを型板代わりに使いました(画像左)が、無駄のない革取りとタグの穴あけにはこれが便利です。すでに革張りは6台経験済み、バランス良く仕上げるコツが分かってきました。タグの位置は鼓面のサイズに鋲までの幅を加えた位置にすると、本張りの際の革の伸びを見込んで丁度バランス良く仕上がります(画像右)。タグに石鹸をつけると差込がスムーズです。

 

【革の仮張】

 タグを取り付けたら仮張りします。仮張りは形を整える程度で、あまり伸ばさないようにします(上段左画像)。この時点で鼓面からロープまでの距離はこれくらい(上段中央画像)で、ロープは2つの鋲の位置の中央くらいです。このままでは鋲が打てませんが、本張りで鼓面を伸ばしすと丁度鋲を打てる幅が出来ます。仮張りはジャッキを使わないので3台同時に行いました(上段右画像)。

 画像下左は仮張り後十分に乾いた状態です。本張りの前日には鼓面のみを再度水につけますが、このときタグの付いた耳の部分を濡らさないように注意します。(ここもポイント)

 

【本張り】

 鼓面のみ水でやわらかくしたら、ジャッキをセットしてロープを掛け本張り開始です。唄口にはロウか石鹸を塗っておくと革が滑ってよく伸びるようです。そして、最初のロープ掛けの際に、革をバランスよく配置し、かつ全部のロープのテンションが均等になるようにセットすることが重要です。

 ”乗って踏んでジャッキアップして”を繰り返します(下段左画像)。仮張りで形良く仕上げることと、そのあと耳の部分を良く乾かすことで、本張りでは鼓面のみを伸ばすことが出来ます。ここをしっかりやれば、本張りでタグ周りで革が切れる心配はなくなります。

 一番難しいのは”張り具合”です。本職の職人さんは耳と経験で判断できるのでしょうが、鋲止めは一発勝負なので素人はなかなか上手くいきません。十分に革を伸ばして、かなり張らないとまともな音にはなりません。それでも「これで十分かな?」と思ったところから、さらにもう1回か2回は”乗って踏んでジャッキアップして”を繰り返し、「これが限界」くらいが、良い感じで仕上がります。十分に乾いた頃に「ちょっと張りすぎたかな?」と思う程度が、打ち込んで丁度よくなります。張り終わった頃に「まあこんなもんかな」と思う程度は、乾いて本打ちできる頃には低く張りが甘い仕上がりのようです。

 

【仕上がり】

 上段は仕上がりの様子です。下段の画像は鼓面の仕上がりの様子です。1.2尺(上段左画像)、1.3尺(上段中央画像)、1.6尺(上段右画像)1.6尺はやや低い音ですが太鼓屋さんの太鼓にも負けず、今は3台とも本番で活躍しています。

 どうですか?バランスもバッチリだと思います。何故か鼓面は日が経つにつれて自然に白くなり、今では耳の部分も白くなっています。

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